[目次]
①DJI Mavic 2 Enterprise Dualとは
②赤外線カメラの機能
③Mavic 2 Enterpriseとの比較
④DJIの赤外線カメラXT2との比較
⑤まとめ
赤外線カメラを搭載した産業用ドローン DJI Mavic 2 Enterprise Dual が発売
2018年12月21日にDJI社はMavic2のコンパクトなボディサイズをベースとしながらも赤外線カメラを搭載した産業用ドローン「Mavic 2 Enterprise Dual」の販売を開始しました。
この記事では、基本スペック、赤外線カメラでなにができるのかをはじめ、現在販売されている「Mavic 2 Enterprise」との違いとDJIが販売しているM200,M600シリーズ用の赤外線カメラであるZenmuse XT2との比較をしながら「Mavic 2 Enterprise Dual」の特徴に迫ります。
①DJI Mavic 2 Enterprise Dualとは
DJI「Mavic 2 Enterprise Dual」は、遭難者を捜索する現場や消防の現場で活躍するために、現在発売されている「Mavic 2 Enterprise」に赤外線カメラと4Kカメラを搭載しました。まずは、基本スペックと主な特徴から紹介します。
基本スペックは機体重量が899gで最大飛行時間は31分、飛行速度は最大72km/hで飛行することができます。最大飛行時間が25km/hの一定速度での飛行の数字なので最大速度で飛行した場合飛行時間は短くなるでしょう。
そして、最大の特徴としてMavic 2 Enterprise Dualは可視カメラと赤外線カメラ、2つのカメラを搭載しています。
可視カメラは1/2.3CMOSセンサーを搭載し、有効画素数は1200万画素,4K30p/2.7k30p/FHD30pで録画をすることができます。このカメラに加えてFLIR社の放射サーマルセンサー内蔵の赤外線カメラを搭載しており、遭難者救助などの現場でより効果的に捜索をすることができるようになりました。
安全な飛行を行うためにDJI AirSenseを搭載し、有人航空機の位置情報をリアルタイムで測定し事故を回避するほか、全方位障害物検知、高度操縦支援システムにより狭い場所でも安定した飛行を行えるようになりました。
データ転送はMavic 2 Proと同等のOcuSync 2.0を採用し、最大8kmのデータ転送が可能となっています。
産業用として対策が必要とされているセキュリティーに関しては、24GBの内部ストレージはパスワード保護によってドローンに物理的な障害が生じた際にもフライトログ、画像、動画などを保護することが出来ます。
拡張ポートもMavic 2 Enterpriseと同様に備えており、スポットライト、スピーカー、ビーコンを搭載することが可能です。また、発熱バッテリーを採用しておりマイナス10度の環境でも安定して飛行できるようになっています。
②赤外線カメラの機能
Mavic2 Enterprise Dualの最大の特徴はFLIR社の赤外線カメラを搭載していることで、現在赤外線カメラを搭載した機体としては最小になります。
赤外線カメラは赤外線のみのモードとMSX Fusionを切り替えることが可能です。
MSX Fusionにより通常の赤外線カメラでは輪郭が不鮮明な状態を、可視カメラと赤外線カメラをリアルタイムで統合することで、映し出されているものの輪郭や位置をより明確に把握することができます。
特定のエリアの温度を測定する機能や特定のスポットの温度を測定する機能も搭載しているので、火災の現場などでより高い効果を発揮します。
「ホットスポットモード」という一番高い温度のみを映し出してくれるモードなどもあり、より高いレベルで救助や捜索を行うことができます。
③Mavic 2 Enterpriseとの比較
現在、Mavic 2 Enterpriseという産業用モデルが販売されています。違いは何なのでしょうか。
まずは基本スペックは同じで、ボディも同じなのでバッテリーや現在Mavic 2 Enterprise用にスポットライト、ビーコン、スピーカーは流用することができます。
大きな違いとしては一点でDualの名前があらわしているように、デュアルカメラが搭載されているか否かになります。
Mavic 2 Enterpriseは2倍光学/3倍デジタルズームカメラを搭載しており、可視カメラにおいてはより離れた位置から安全に観察することができます。
ズームカメラとデュアルカメラは現時点で交換不可能なので、赤外線カメラだけを買って現在あるEnterpriseモデルに搭載するということは不可能ですのでご注意ください。
④DJIの赤外線カメラXT2との比較
現在、DJIはZenmuse XT2というM200,M600シリーズ用の赤外線カメラを販売しています。この赤外線カメラとMavic 2 Enterprise Dualのカメラの違いは何なのでしょうか。
DJI Director of Public Safety IntegrationであるRomeo Duscher氏はXT2の代わりとしてMavic 2 Enterprise Dualを使用する事は不可能であると述べています。
なぜならば、センサーサイズの違いがあるからです。
XT2はTau2赤外線センサーを搭載しており、30Hzのフレームレートを可能にしています。それに比べるとMavic 2 Enterprise Dualの赤外線カメラはセンサーサイズが小さいので解像度などの差が出てきます。
したがって、上空から捜索をするという点においてはまだXT2に軍配が上がると述べられています。
しかし、Mavic 2 Enterprise Dualの特徴であるコンパクトなボディサイズを生かすことで、より近くに寄ったりFlightAutonomyなどの障害物検知によって屋内でより効果的な成果を上げることができる点において、効果的であると述べられています。
したがって、Duscher氏によるとM210+XT2とはしっかりと住みわけができており、上空からの捜索などはXT2で行い、より近い範囲や室内での活動にはスピーカーやライトが搭載できるMavic 2 Enterprise Dualを使用するという方法が想定されています。
⑤まとめ
Mavic 2 Enterprise Dualは赤外線カメラを搭載し、Mavic 2をベースとしたよりコンパクトで安定し、機動性を担保した産業用ドローンとなっています。XT2と比べると赤外線カメラの性能は劣りますが、それでも基本的な機能は備えており、屋内などの小さい機体が必要不可欠な現場では高い効果を発揮すると予想されています。
引用:https://www.dji.com/jp/mavic-2-enterprise